反転した世界情勢の認識 7
外交部の立場を代表する雑誌として知られる『国際問題研究』。
これは、90年10月発行の第4期号で、世界は目下、戦後ヤルタ体制が崩壊して多極化の方向に進んでいるとする見方を提示していました。
ただし、この体制移行の過渡期には世界戦争勃発の危機を含めて、なお多くの軍事的、政治的な衝突と混乱が引き起こされる危険性があるとしています。
さらに世界の矛盾は、依然、社会主義と資本主義の対立、および先進諸国と発展途上国の南北間矛盾によって構成されていると指摘することも忘れていません。
・・・この点からすると、防衛的な意図を持って積極的な第三世界外交を展開するという線では、指導部内に意見の食い違いはなかったということです。
・・・ここでの問題は、天安門事件をアメリカを中心とした西側勢力の外部からの陰謀によって起きたとみなす見方が、その後の東欧の激動を経ることによって、いっそう深化すること・・・
むしろアメリカの全般的な世界戦略として、中国だけでなく社会主義圏全体を平和的に資本主義体制へと移行させようとする意図が働いているとする見方に変わりつつあることでした。
このような認識の転換はその後さらに進むことになり、ひいてはアメリカの意図が社会主義圏のみならず、脱冷戦の過渡期全般において全世界規模での新秩序形成に主導的な地位を占めようとする点にあるとする認識を生むまでになっていきました。
・・・いずれにせよ、90年末までの段階では、なお中国指導部内に世界情勢をめぐって必ずしも統一した認識が確立していなかった可能性が高かったのです。