反転した世界情勢の認識 3
89年から中国政府は軍事費の大幅増額を計上するようになり、一挙に軍拡の方向に反転を開始しています。
・・・とりわけ89年初夏の民主化運動と天安門事件をくぐったあとの時点になると、その様相は一変してくるのです。
前回の90年4月の論文が、88年段階の銚曾蔭論文に比して本格的な戦略転換を求める主張を行っているのもそのためです。
1989年の天安門事件は、とりわけ郵小平や楊尚昆、王震といった一部実力派の軍長老の世界情勢認識を大きく変えるきっかけをつくりました。
前述のように、それまで国際情勢について比較的楽観的な見方をとるようになっていた郵小平指導部は、この事件を境にその世界認識を修正し、相当程度に悲観的な見方へと逆戻りを開始したからです。
事件直後の6月9日に郡小平が戒厳部隊の幹部を接見した際に語った「大気候、小気候」論。
・・・すなわち国際情勢(大気候)と中国国内の情勢(小気候)があい呼応して中国共産党と社会主義政権の転覆を謀る反革命暴乱が引き起こされたとする見方・・・
これこそ、この世界情勢認識の反転を象徴するものでした。
むろん、郭小平指導部も国際情勢が全面的に米ソニ極支配の冷戦体制に逆戻りしたという見方をとっているわけではありません。