反転した世界情勢の認識 2
この必要に応えたのが、次のような議論でした。
すなわち、第一には、従来、中国が輸出主導型戦略に基づいて先進国輸出向けに生産してきた労働集約型製品は、現在、アメリカ、EC諸国などに保護貿易主義が急速に台頭したこと。
さらには世界経済・貿易が低成長期に入って各国の輸入購買力が低下したことなどと相まって、市場を大幅に狭める結果になってきているという点。
・・・第ニは、多くの発展途上諸国が中国と同様の輸出主導型戦略を採用し、その労働集約型製品が国際市場に参入してきたために、競争が激化しているという点。
第三に、本来、労働集約型製品だった軽工業や紡績業製品、アパレル衣料品などが、マイクロエレクトロニクスやロボットの応用によって労働節約的技術の導入を可能とし、このためNIESや先進諸国もこの産業分野に再参入する傾向を見せはじめていっそう競争が激化していること。
そして、むしろ製品の質を争う時代になりつつあるという点。
・・・以上の諸点から、いまやハイテクをはじめとした技術革新を進め、輸出製品の質的向上、高級化を図る一方、国内市場の開拓にも努めねばならないなどの提言がなされたのでした。
こうした論点はその後も繰り返し現れ、のちに1990年に入るといっそうトーンを強めます。
明確に従来の輸出主導型戦略が限界に達したとして、戦略の全面的修正を主張する論点までを生み出すようになっていきました。
たとえば『人民日報』90年4月14日付の論文などがその代表でした。
いずれにせよ、88年の時点まではハイテク産業の育成重視の戦略転換が徐々に図られるようになったとはいっても、依然、民需中心でまったく軍事的意味合いは伴っていなかったのです。